この言葉は、1970年前後に大学にいた人たちにとっては懐かしい言葉だ。 もともとは共産党が大衆を組織化するために始めた「うたごえ運動」に端を発する。
◆マルクス、レーニンといっても、何のことだかわからない人が殆どだろう。
マルクスは19世紀に活躍した思想家(?)で、唯物史観を前提に資本の私的所有を廃止し国の共有財産として国民に分配されることにより、国民が豊かになると唱え、当時その理論はマルクス経済学といわれ人気があった。
レーニンはマルクス主義を時代に合わせて発展させた実践した社会運動家(?)であり、初の社会主義国家をロシアに樹立させた。
共に、資本主義の弊害を目の当たりにし、共産主義、社会主義社会の到来を模索した人たちだ。 当時の経済学部生は「近代経済学」と「マルクス主義経済学」の二つの経済学を学ぶのが当たり前になっていたが、今は「マルクス経済学」という呼称すらなくなっているようだ。
「歌ってマルクス、踊ってレーニン」という言葉は、新左翼の各派が新入生を入会させる為に、サークル名は「●●派」とか「▲▲戦線」とか「■■同盟」といった強面のする名前を隠し「××合唱サークル」、「〇〇同好会」などとソフトな名前を使っていた。 そして、可愛い女の子をリクルーターに仕掛け、フォークソングや演劇といった柔らかなイメージのサークルを偽装し「歌ったり」「踊ったり」する楽しそうなサークルを装い新入生を勧誘した。
その後の赤軍派やオウム真理教、統一教会も同じ手法をとった。
必ず<可愛い女の子>が<やさしく声をかけてきて>、<一緒に楽しく>やりましょうというのが常套手段だった。
◆半世紀前は今のようにインターネットもなく、田舎から出てきた学生は情報を得る手段が限られていた。
特に<受験勉強以外のことを知らない>、<田舎から出てきて>、<友人もいない>、<まじめな大学生>ほど簡単にそんな連中に引っかかった。 また、当時の大学進学率は男性で25%程度だったが、女性は数%しかおらず、とくに進学校といわれるところは男子校が多く、女性に対する免疫がなかった。
そして、高校までは地味な学生服しか見たことがない男性が、突然ミニスカートの魅力的な女子大生に声をかけられると舞い上がってしまっていた。
思春期なので当然心の中では異性に対する気持ちは盛り上がっているが、どのように接していいのかわからない学生も多かった。
当時は高校生は放課後も街中を出歩くことは禁止され「不良」といわれ、補導される事もあった。
そんな<純真で孤独な大学生>を取り込むための手段として、「音楽」や「ダンス」のサークルが使われ、それを揶揄する言葉として有名だった。
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