今、我が家には二匹の猫がいる。２代目である。 しかし、
１．僕は猫が大嫌いだった。
それは小学校１年のとき、犬と同じだと思いお手をさせようとしたところ、 猫に引っかかれ、手の皮が剥け血だらけになるという痛い思いをしたからだ。
それがトラウマになり、大人になっても猫が苦手だった。
道路の端に猫がいれば、石を投げるふりをして追い払ったり、わざわざ回り道をした。
２．今から２１年前の事だ。マンションの３階に住んでいたとき、帰宅したら、玄関の門柱に猫が座っていた。
猫が苦手な僕は、怖くて門に近づけない。 そこで石を投げるふりをしたが、猫は逃げていかない。
やむを得ず、電話で家内を呼び出し門柱の上の猫をどかしてもらった。
それからも、帰宅するといつも猫が門柱に座っているので、毎晩家内を呼び出した。
家内の話では、最近隣のマンションに引っ越してきた一人暮らしの女性が家を出るとき、猫を外に出しているらしい。
３．一か月後、帰宅すると、門柱に猫がいなかった。
ほっとして我が家に入ると、リビングのソファアの上にその猫が寝転がっていた。
驚いてすぐに家から飛び出し、家内に猫を外に出してもらった。
実は家内は大の猫好きで猫を飼いたかったが親が許さないので諦めていたそうだ。 今日買い物から帰ったら猫が門柱に座っていたので、「おいで」と誘ったら家までついてきたという。
それからも、そんな訳で何度か我が家に猫が入ってきていた・・・ようだ。 というのも、いつのまにか猫用の缶詰とエサ入れが置いてあった。
４．ある時、ソファアでくつろいでいると、「もう慣れたでしょ」といって、その猫を自分の部屋から抱いてきて＜いきなり＞僕に押しつけた。
逃げようとしたが動けない。
「犬と思えば大丈夫。ひっかかないから」 勝手なことを言いながら、動けない態勢の僕の手をとって猫の頭をなでさせた。
猫は「にゃー」と甘い声を出した。
最初はおっかなびっくりだったが、猫がじっとしているので、少しずつ慣らされた。 それからは、平気で我が家に入ってくると、我が家で餌を食べるようになった。
そして、夜隣家の人が帰宅すると、玄関の扉をひっかくので開けたら、さっさと自分の家に帰っていった。
考えてみると、とても＜要領のいい猫＞だ。 それからは、家に帰ると家内と猫がお出迎えするのが当たり前になっていた。
５．１年が過ぎたころ、突然隣家の人が引っ越し、猫もいなくなった。
家に帰っても猫がいない寂しさに我慢が出来なくなった。
結局、家内と一緒にペットショップに行って、アメリカンショートヘアーの生後３ケ月の雄を買った。
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