◆年末、殺人事件が多発した。 12月20日に茅ヶ崎市で家賃を滞納している者にいきなりナイフで切りつけられ殺害され、12月25日に埼玉県飯能市で親子3人がハンマーで撲殺された。
【問題】突然の攻撃だが、果たして合気道で身を護れるのだろうか。
【回答】2段以上で、しっかり体捌きをしている者なら対応できるのでは・・・と思う。 当たり前の話だが、本人がどれくらい真剣にやっているかにもよる。
【具体的にいうと】 (1)相手の攻撃に対し、自分は背中から反転するからナイフは避けられる。 ドアを開けようとして押したとき、外からそれを引くようなもの。 攻撃者は目の前の目標を失いバランスを崩すので、そこを抑える事が出来る。
合気道の技とはそういうものだと思う。 通常だと攻撃されたら、前掛かりになって反撃する。 例えば、空手でも剣道でも、正面から打ち合う。柔道でもお互いを掴んで技を掛け合う。 人間の本能と言って良いのかもしれないが、それではナイフを持ってきた人間に対応できない。 だから、相手の攻撃に合わせて反転するのが大切になってくる。
簡単なようで実際にこのように動くのは難しい
(2)どのような稽古をしていなければならないか。 ①体捌きをしっかりやる このとき、自分勝手に一人でやっていても意味がない。 相手の動きに合わせてやらなければならない。
②相手の<気>に合わせて動かなければならない 相手の動きに合わせた体捌きができても、それで確実に相手のナイフを避けられるかが問題だ。 そのタイミングが難しい。 相手のナイフの動きを見てから動いていては間に合わない。 相手の<気>の動きに連動して体捌きが出来ないと、ナイフが刺さってしまう。
(3)どういうことかというと、開祖の言葉で「五、五の十」「三、七の十」といったように相手と自分との距離感を常に一定に保てるようにすることだ。 即ち、相手が<五>の力で来たら<五>の力で受けて、<三>の力で来たら<七>の力で受けると言うこと。 これは物質的な力の調和であると共に、相手との心の繋がりが感得出来なければならない。
(4)相手が強い殺意を持って刺してきたなら、それを感得出来、<無意識>で相手の攻撃に対し調和をとるような背面への体捌きが出来るのではないかと思う。
多分、もっとも近い動きは<社交ダンス>だと思う。 ペアで踊っていて、初心者は相手のリードに合わせて動くが、ターンするときなどに<ぶつかり>を感じると思う。上手な指導者はそれを感じさせないように体全体で相手を誘導している。(経験上) ダンスなので武道のように闘うのではないが、相手が押してきたとき、<ぶつからない>ように、<相手に合わせて>、<相手との距離を保ちながら>、<柔らかく>、<導くように>、<背面側に回転>できるのではないだろうか。
<社交ダンスの場合>は、リードしてくれる相手に合わせ、お互いがスムーズに踊れるように調和した動きをとろうとするので、いつまでも二人で円を描いている。 <合気道の場合>は、攻撃してくる相手をいなすので、相手は円の外に投げ出されてしまう。
(5)受け手は相手の気は察知したところで、相手を<バランスを失わせたまま放り投げる>か、<抑え技で取り押さえるか>ということになる。
感覚の問題なので言葉で説明するのはとても難しい。
稽古をするときに、相手の<体全体の動き>と<気>を自分の体全体で感得する努力をすれば、やがて自分と相手が対立したものでなく、一体となったものだと理解出来るようになる・・・と思う。
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