大学入学共通テストで女子大生が問題をスカイプで撮影し大学生に解答してもらっていたという事件が発生した。
大阪の女子大生が東京の有名私大に入りたかったというのがその理由だと言われている。 1月15日に起きた「東大刺傷事件」に次いで起きた入試をめぐる事件だ。
なんでそんな事をするのだろうか。 せっかく大学に入ったのだから学生生活を楽しめばいいのにと思うのだが、なかなかそうはいかない学生もいるようだ。
YOU TUBEでオンエアしている<wakatte TV>ではMCが、高偏差値でない大学に通う学生をバカにするような形でインタビューをしている。一昔前だったらがバカにされた学生とトラブルになるのだが、わりと平然と話している。(おそらくそうでない場合はオンエアしていないのだろう) このような番組が受け入れられるのだろうかと思ったが、どれも数十万の再生回数を記録している。 そして、コメント欄にもインタビューに批判的なものは殆どない。(おそらく批判的なコメントは削除されているのだろうが)
しかし、この一連の番組は傷つきやすく、感受性の強い,二十歳前後の学生にとっては、自分の存在基盤を足蹴にするようなもので到底耐えられないものではないだろうか。 事件を起こした女子大生も推測するに<有名でない>大学に所属するか、<有名大学>を落ちてコンプレックスを持っていたのだろう。 もしかしたらそんなコンプレックスを一生引きずってしまうのではないか心配したのかもしれない。
そんな「心の傷を何とかしたい」と思って犯行に及んだのだろうか。 あまりにも稚拙だが、可哀そうな気がする。
大学のブランド化による差別は昔から存在する。 しかし、社会に出て2,3年すると、既に過去のものとなった大学名など気にするより、社会の中でこれからどのように生きていくかに関心が集中するようになる。 そして、どこの大学を出たかより、どのような仕事が出来るか(出来たか)という事が重要になる。
しかし、そんな社会人も彼らが活躍しようと考えている有名企業に入るには、残念なことに多くの場合「大学名」で選別されるのが現実だ。 何とかならないかと思う。
半世紀以上前、エリートコースとして毎年東大に100名以上(多い年は193人)送っていた都立日比谷高校(戦前の府立一中が戦後日比谷高校になった、そして一高、東大というエリートコースの起点になっていた)に越境入学する生徒が多く問題となり都立高校の学制改革が行われた。 そのため特定の高校を選択することが出来なくなり、日比谷高校が所属する群に合格しても同じ群に所属する他の2校に回される可能性があった。 その結果、日比谷高校を始めとする都立高校の東大合格者数は激減したが、代わって私立や国立大学の付属高校から東大に進学する者が増えた。ここ数十年毎年開成高校が東大格者数日本一と言われているが、半世紀前は30~40人程度に過ぎなかった。 結局東大に対する受験熱は下がらず、どこの高校に進学するかの違いでしかない。
今でも相変わらずマスコミは東大に何人入ったかを喧伝し、更に「東大王」というTV番組まで作っている。 単なるクイズ番組だが、出演者の出身大学を名前と一緒に出しているところが他の番組と違う。 TVの番組表でこの番組タイトルを見たとき鳥肌が立った。
なんでこんな番組タイトルにしたのか。 視聴者がこんな番組を見るのだろうか。 スポンサーはつくのだろうか。 ・・・そんな事が頭の中を駆け巡った。 が、それなりに視聴率はとっておりスポンサーもつき、ゴールデンタイムで放送している。
いったい何の意図があってこんな番組を作ったのだろうか。メディアも別に批判していない。 そろそろそんな下らいないことはやめた方が社会の為になると思うのだが・・・
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