1.春になり、温かい空気が体を包む。 ふと「もうすぐ春ですね」というメロディが口をついて出てくる。 キャンディーズの人気曲。 正確な曲名が「春一番」と知ったのはかなり後だった。(2) キャンディーズ 春一番(アルバムヴァージョン) – YouTube
2.キャンディーズは不思議なグループだった。 同年代の百恵ちゃんや桜田淳子、森昌子、石川さゆり、ほど独自の歌のスタイルがあるわけでなく、格別上手い事もなく、顔が可愛いとか美人という訳ではない。 どこかが<人を引きつける>というものが見当たらないのだ。
キャンディーズが売れたのは、「ドリフターズの全員集合」でレギュラー的に出演していて、ミニスカートから出た少し太めのセクシーな太ももが若い男性の心を射止め、人気になったのではないのかと思っている。ドリフの全員集合 キャンディーズ集 – 動画 Dailymotion
3.彼女たちには、本来単体で売れるだけの技量はなかった。 同年代のタレントには山口百恵、森昌子、桜田淳子といった個性たっぷりのプロの歌手がいたが、キャンディーズはプロには見えなかった。
遠慮しながら「すみませんがタレントとして出してもらっています」というニュアンスがいつもあった。 それは、自分たちに<プロ>といえるほどの<歌唱力>も<演技力>も<美貌>もないのを知っていたからだろう。 確かにTVに出ているタレントではあるかもしれないが、<プロ>とはいえないレベルだった。 そんな危うい立ち位置を身近なタレントとして、視聴者は応援していたと思う。
だから、「春一番」がヒットした翌年には「普通の女の子に戻りたい」という名言(?)を残して、1978年に解散した。 それは、彼女たち自身がそんな不安定な立ち位置に耐えられなくなり、片足かけていた芸能人の世界から本来の自分たちのいる場所=普通の人に戻りたくなったのだろう。
4.この歌も、<心に迫るような歌詞があるわけでなく>、<メロディーが素晴らしい訳でもなく>、<歌声が良いわけでもない>。 いってしまうと「学生のコンパでのりで歌うような類いのレベル」としかいえない。
しかし、後楽園球場で開かれた解散コンサートは満員のファンを集め、TVでも高い視聴率をとった。 そんなプロとは思えない彼女達だったが、それが親近感を持たれたのかもしれない。
私の友人にも大ファンがいて、カラオケではいつも酒を飲みながら、調子外れで歌っていた。 無論下手でただ大声を出したかっただけではないかと思ったが、いつもノリで歌っていた。
個人的には<スー>ちゃんがお気に入りだったが、残念ながら早逝してしまった。
<春風>が吹いてくると、何も考えずに、「もうすぐ、は~るですね~、ちょっときどってみませんか~」というフレーズを口ずさんでしまう。
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