TVのニュースで「うたごえ喫茶ともしび」が復活したと紹介された。
1.今から半世紀前、僕が高校生だった頃、みんなで一緒に歌う楽しさが始まったように思う。 当時は全共闘といわれた学生運動が盛んだった。 大人達に反発し、自分たちの主張を通そうとした。
しかし、大人達への反発はその数年前から起こっていた。 第二次世界大戦が終わり社会が安定し、戦争を知らない世代が成長し大人になり始めてきていたが、 戦争を経験した大人達は自分たちの生きてきた<時代感覚>のままで、新しい時代への対応が出来なかった。 大人にとって<娯楽>というのは、戦いの間のほんの<余興>のようなものだったのだと思う。 即ち、<エンターテイメント>という文化そのものを素直に心の底から受け止めれるような素地が育っていなかったのではないだろうか。
2.しかし戦後世代の<若者>の関心は<戦い>という「相手の存在を否定するもの」ではなく、「自分や仲間が心から喜べる」ような<娯楽>だった。
そしてその頃若者文化が育ちはじめ、アメリカではサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」という<少年の心>を<少年の言葉>で綴った本や「緑色革命」といった本がベストセラーになり、日本でもサリンジャーを真似たといわれる庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」が読まるようになった。 ライ麦畑でつかまえて | J.D.サリンジャー, 野崎 孝 |本 | 通販 | Amazon 緑色革命 (1971年) | チャールズ・A・ライク, 邦高 忠二 |本 | 通販 | Amazon 赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫) | 庄司 薫 |本 | 通販 | Amazon
3.音楽の世界はもっと衝撃的だった。 本のように自分の世界に閉じこもって読んでいるのではなく、TVやラジオから体全体に訴えてくる力があった。 それは、若者であろうが年寄りであろうが関係なかった。
しかし、大人たちは学校や軍隊で聞いたことのない奇妙な声やリズムを受け入れられなかった。 当時大人達がもっとも嫌ったのがエレキバンドだった。
しかし僕たちは本当に<心底><エレキ>に<シビレ>てしまったのだ。 それは、<ザ・ビートルズ>だ。 それまでのTVで流れていた一般の歌謡曲はそれなりに口ずさんだりしていたが、ビートルズの音楽を聞いたときは体全体に「鳥肌が立つ」ほど衝撃的だった。
そしてそのコピーバンドのようなグル-プサウンズが流行りだした。
4.学校では文化祭でビートルズの曲が演奏され、学生も一緒に歌った。 みんなで一緒に歌う楽しさを知ったのもこの頃だと思う。 特に「反戦歌」と言われるものは「反体制」と結びつき、<先生>に目をつけられ、何かと問題児扱いされがちだったが、<全員>で歌うと<先生達>もどうしようもなかったのだろう・・・と思う。
そして後夜祭には全員で「友よ」を歌った。 友よ – 高石友也 / 岡林信康 – YouTube
この頃からみんなで歌うというのが流行るようになった。 大学に入っても、合宿や旅行先の宿やユースホステルでは誰かがギターを弾いてみんなが一緒に歌った。
社会人になってもその楽しさが続き、歌声喫茶に行くようになった。
コメント